【ペアリング】日本酒と合わせる料理

日本酒

 こんにちは。日本酒が趣味の近衛です。日本酒を飲んでいると、当然日本酒の味わいについて舌が肥えていきます。皆様の周りにも日本酒の解説に心血を注いでいるような方がいらっしゃるのではないでしょうか。
 しかし日本酒の味わいは、ワインとは違って定められた表現の仕方がなく、それぞれの感じた味わいを共通言語で合致させることが困難です。
 これまでの記事で、ラベルを見て味の予想を立てる方法や、酒屋さんを頼りに情報を入手する方法について説明してきました。

 記事を覆す訳ではありませんが、結局味覚というものは、自分でどう感じるかが大切で、言語化すると他者との齟齬が出てくるものです。
 では、味を推察するにはどうするべきなのか。他者との感覚の違いは出るものの、過去の自分の感覚と差異はほとんどありません。例えば、スープが澄んでいるラーメンはあっさりしていて好みだとか、和牛100%のハンバーグより合いびき肉の方が安いけど柔らくておいしいとか、個人の指標というものはあると思います。
 これらは、過去の経験から味を予測して自分の好みの食事を選んでいるということです。

日本酒も同じです。過去の自分の感想をストックできておけば、自分の好きな商品を選びやすくなります。
 味を記憶するにはテイスティングをして、記録をしておくことが重要です。ワインのソムリエである北原康行の著書『日本酒テイスティング 』を参考に、今回は日本酒の味を分類する方法を紹介します。

日本酒の味を4つに分類する

 日本酒の味わいは、実はプロからしても分かりづらいようです。
 ワインのソムリエである北原康行の著書『日本酒テイスティング 』(日本経済新聞出版)によれば、

 私はワインのブラインドテイスティングなら、どこの国のどこの地域で育った、どういう品種のブドウか、まで当てられますが、日本酒ではこうはいきません。(中略)ヨーロッパでは、ある地域のワインを名乗るためには、かならずその地域で育ったブドウを使わなければいけない。(中略)一方、日本酒にはそうした規制がない。たとえば兵庫県で育てた山田錦を使って、遠く離れた宮城県の蔵元がつくったとしても、宮城県の地酒として売ることができる。(中略)酒蔵にすみついた酵母を使うのは珍しいケースで、たいていは日本醸造協会から買ってきた酵母です。つまり、地元の酵母ではない。さらに醸造アルコールを加えるお酒もある。醸造アルコールも地元産ではないので、テロワールは薄まっていく。

北原康行. 日本酒テイスティング (日本経済新聞出版)

と仰っています。
 そんな難しい味わいの日本酒ですが、日本酒の味を4つに分類すると理解しやすくなります。著書を参考に分類すると、下記のとおりになります。

薫酒(くんしゅ)…フルーティな香りがして、お酒単体で楽しめる日本酒
爽酒(そうしゅ)…軽やかで清涼感のある日本酒
醇酒(じゅんしゅ)…米の香りが楽しめる燗に向いた日本酒
塾酒(じゅくしゅ)…熟成した香りをもつ日本酒

今回は、この4つの分類に沿って解説をしていきます。

薫酒について

 初めに薫酒について説明します。これは香りが高く、味が淡いお酒を指します。

 ワイングラスに入れて飲むようなお酒です。東日本で作られたお酒の方がより澄んでいるイメージです。
 飲んだ瞬間、フルーティな香りがします。フルーツの香りが意識できたら、薫酒か爽酒の分類にして間違いないでしょう。

 薫酒に合う料理としては、白身のお刺身でしょうか。それから、フルーツの香りの違いで合わせる料理を選んでもかまいません。例えば感じられた香りが赤い果実のものなら、赤色を連想させるビーフシチューなどを合わせてみるのが良いです。白い果実のイメージのでしたら、同じシチューでもクリームシチューやチーズを合わせてみるといいかもしれません。

爽酒について

 続いて爽酒です。爽酒は、香りがそれほど強くなく、味も淡泊な日本酒です。

 一見、特徴のないような印象を受けますが、夏の暑い日に爽酒は合います。どんな料理にも合わせやすいのが特徴です。

 カツオやマグロの血合いの多い、独特な臭みのある食材には、爽酒を合わせて味を切るということができます。料理とのペアリングには、合わせるほかに、脂身や臭みを断ち切るという合わせ方もあるのです。そうした役割をするのに爽酒は便利です。

醇酒について

 醇酒は、精米歩合が比較的高い数値のお酒のことです。

 米の香りが感じられ、まさに食中酒の定番ともいえます。燗にするとより食中酒としての効果が高まります。

 醇酒は、フルーティな香りがありません。フルーティな香りの日本酒は、燗にするとその香りが飛んでしまいますが、醇酒は、元々酒米の味わいが出ているため、燗にしても旨味がより一層強く感じられるのです。

 お米に合わせたい料理なら何でも合うといってもいいです。焼肉を食べている最中、ごはんが欲しくなりますよね。米で作られた日本酒が合わない訳がないのです。

熟酒について

 熟酒は、いわゆる古酒のことです。熟成をした日本酒の香りが特徴です。
 正直、初めは苦手に感じられるかもしれませんが、燗で一番おいしいのはこの熟酒であると断言できます。

 香りが濃いので、焼き鳥のたれなどによく合います。味つけの濃い料理ほど合うのですが、逆に味の薄い料理には合いにくい印象です。日本酒の味が勝ってしまいます。

 熟酒は、なかなか一般的には手に入らないので、酒屋さんなどを巡ってみることをお勧めします。

どこに分類すればいいの?

 分類については分かったけれど、どうやって分類するのか、という話をします。ご自身で感じたままに分類するのが一番いいのですが、目安として、

  • 東日本の酒蔵の酒は薫酒寄り
  • 西日本の酒蔵の酒は爽酒寄り
  • 精米歩合が少ない数値は薫酒寄り
  • 純米酒は醇酒寄り

といった感じでしょうか。

 冒頭で述べたとおり、自身の感覚が一番大事です。自分なりに分類をして、日本酒を楽しんでみてください。

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