【今更聞けない】日本酒のラベルの読み方

日本酒

 こんにちは、近衛です。
 今回は、日本酒のラベルについて解説していきます。

 日本酒って、ラベルにいろいろ訳の分からないこと書いていますよね。
 種類ってなに?純米大吟醸?火入れ?精米歩合?
 この意味が理解できると、より日本酒のおいしさを理解することができます。是非勉強してみましょう。

日本酒の原材料について【純米酒とアル添酒のちがい】

 そもそも、日本酒の原材料について説明しておきます。
 日本酒は、米麹の3つによって構成されています。
 この3つで作られた日本酒を純米酒といいます。

 一方、この3つに加えて、醸造アルコールが加わったものを通称アル添酒といいます。
 醸造アルコールとは「でんぷん質物又は含糖質物を原料として発酵させて蒸留したアルコール」と定義されています。
 焼酎に近いものと考えてください。主にサトウキビなどを原料とした糖蜜から作られた蒸留酒のようです。

 ちなみに、蒸留とは、ウイスキーなどに用いられる手法です。(ここはマニア向けのため、飛ばしてもOKです)
 アルコールと水は沸点温度が違います。エタノールの沸点は約78℃、水の沸点は100℃です。
 アルコール水を加熱すると、先にアルコールが蒸発するわけです。その蒸発したアルコールを集めて冷やすと、再び液体に戻るので、アルコール水からアルコールのみを取り出すことができるのです。
 この過程を蒸留といい、蒸留によってできるお酒を蒸留酒といいます。

 蒸留酒は、アルコールを集めて凝縮させたものなので、アルコール度数が高いのです。焼酎、ウイスキーやテキーラなどがアルコール度数が高いのは、蒸留しているからなのです。

精米歩合について

 さて、続いて精米歩合について解説します。
 精米歩合とは、米を磨いたあとのものが、何パーセント残っているかを表記しているものとなります。

 米は、真ん中に行くほど甘みが強いです。外側は、雑味がありますが、旨味が強いです。
 作りたい日本酒に合わせて、米を磨いて味に変化を出しているのです。

 米を50%以下まで磨いたものを「大吟醸」60%以下まで磨いたものを「吟醸」といいます。
 原材料を磨く、つまり削っていくわけですから、精米歩合の数字が小さいほど高価になる傾向があります。

 つまり、精米歩合の数字を見れば、大体の日本酒の甘さやランクが分かるという訳です。
 大吟醸だからいい日本酒という訳ではなく、精米歩合が高くても、料理には合いやすいですし、燗にして飲むならむしろ精米歩合が高い日本酒の方がおすすめです。

火入れと生酒の違い 

 火入れとは、加熱処理のことをいいます。
 火入れすることによって、酵母の働きを止め、雑菌の繁殖を防いだり、品質を安定させたりするのです。

 生酒は、酵母が生きている状態の日本酒で、フルーティな香りが特徴的です。
 商品によっては、青臭さがあるものがあります。グラッシーな香りが病みつきになります。

 生酒はラベルに「生」などと書かれていることが多いですね。シールが別に貼ってあるものもあります。
 同じ商品でも、生と火入れしたものとでは、味わいが違いますので、その飲み比べも楽しいですね。

仕込みの手法

 日本酒のラベルには「生酛」や「山廃」などと書かれていることがあります。
 これは、日本酒の製造方法の呼び方です。

 現在になって、日本酒がなぜ醸されていくかを科学的に解明できていますが、昔はそのメカニズムがよくわかっていませんでした。
 料理をするときにも、グルタミン酸とイノシン酸がどうのこうの、なんて考えませんよね。

 その昔ながらのレシピが生酛造りというものです。その工程を省いた山廃造りがあったり、覚えるとキリがありません。生酛造りは乳酸菌を自然の力で投入するレシピです。
 ですから、自然な味わいがしますし、酸味が強いイメージです。

酒米について

 日本酒の原材料になる米は、普段食べている米と同じく、品種があります。

 日本酒の原材料として品種改良されているものを酒米(さかまい)といいます。
 有名なものでいいますと、山田錦、美山錦、雄町、五百万石などでしょうか。
 酒米は地方で品種改良もされていたりしますので、地元で開発された酒米なんかを調べてみるのも楽しみのひとつとなります。

 ラベルに米とだけ書かれているものは、その地方で最も消費されている飯米だと思って構いません。

実際のラベル

 それでは、以下に実際の日本酒のラベルを掲載します。
 ラベルが読めるようになっていますので、どんな日本酒か解説できると思います。

↑こちらは醸造アルコールが入っているので、純米酒ではありません。
いわゆるアル添酒という日本酒です。

↑こちらは純米酒。
 精米歩合が65%なので、甘すぎず、料理にも合わせやすそうです。
 アルコール度数が14度と低めですから、すっきりした味わいになっていそうです。

↑こちらも純米酒
 精米歩合が60%ですから、先ほどより少し甘い印象があるでしょうか。
 県産米と記載されていますから、酒米か飯米かは判断できません。

↑こちらは純米酒。
 そして、生と書かれていますので、フルーティな香りがしそうです。
 精米歩合も55%とやや低めなので、米の甘さも感じられるはずです。

↑こちらも純米酒。
 精米歩合など記載しない、という酒蔵さんも多いです。
 生酛造りと書かれていますので、昔ながらの手法で醸されている日本酒だとわかりますね。

↑こちらも純米酒。
 五百万石というのは酒米の名前です。精米歩合も低めですっきりしていそうなイメージです。

↑この2つは火入れをしていない、生酒を意味するシールが貼られています。
 フルーティな香りがするのかな、という判断ができますね。

 なお、掲載した写真は私が今手元においてある日本酒でした。(アル添酒は酒屋さんで撮らせてもらいました)なんのお酒か分かった方は、よっぽどのマニアかもしれません。

 酵母については詳しく触れませんでしたが、学問色が強くなりますので、別な機会にお話しします。
 ラベルから日本酒を読めるようになってくださいませ。それではまた近日。

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